村を離れて二ヶ月がたとうとしたところで、よわむし君は大き
な川の側で立ち止まっています。ちょうどそこへ心配で後をつ
けていた魔女のおばあさんが魔法で一艘の小さな小船をだして
そっとよわむし君のほうへ押し出します。よわむし君は近づい
てきた一艘の小船をそばまで手繰り寄せてその船に乗り込みま
す。「誰だか知らないけどありがとう、きっとおかあさんが心
配して船を出すように祈ってくれたんだね」と胸に手をやり感
謝します。それを見て魔女のおばあさんはほっとしてよわむし
君が強くたくましくなってきたことで安心します。魔女のおば
あさんもこの川までしか魔法が通じないことを知っているため
よわむし君を見届けるのはここまでしかないとよわむし君の心
に魔法でお母さんの気持ちを伝えます。「きっと大きな使命を
無事に果たして戻ってきてね」小船に乗って漕ぎ出そうとして
いたよわむし君は、「はっ!」っとして川岸を振り返りますが
だれもいません。なんどもなんども振り返りながら心の中で「
おかあさん頑張ってみんなの希望を果たしてくるよ」と言いな
がら櫂をひとこぎひとこぎ船を前に進めていきます。
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